次の雨まで

「テメー、ふざけんな！こっちは生きるか死ぬかの瀬戸際なんだよ！テメーが責任取って俺を助けに来いよ！分かったな！」

あの時、怒鳴られた言葉が頭から離れねえ。
振り込め詐欺だとバレて失敗することは何度もあったけど、全く関係ない事でキレられたのは初めてだ。
遊ぶ金欲しさに軽い気持ちで始めた振り込め詐欺のかけ子のバイト。
悪いことだと知ってはいるけど、成功した時の報酬が魅力で止められねえ。
騙される奴が悪いんだ。
結局、騙される奴がいなければ、詐欺なんてこの世からなくなるんだ。

それにしても……。

あの男が切羽詰まった勢いで言っていた『生きるか死ぬかの瀬戸際』だとか『俺を助けに来いよ！』の言葉の意味。
あの言葉が本当だとしたら……。
あの必死さは嘘だと思えねえ。
気になったから、あの時の電話番号は控えてある。
スマホで警察に通報する。

「あー、俺ですけど。マズいことになりました……」

了