二千万回目の宝くじ

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 思えば今まで長かった。  呪いをかけた後、最初に転生してから二千数百万年くらいだろうか。厳密な年数までは覚えていない。  いろいろなことがあった。つらいことが腐るほどあった。  伝説の自然災害、例えば関東大震災や東日本大震災、伊勢湾台風はきっとこんな感じだったであろうという災害はもちろんのこと、世界大戦に巻き込まれたこともあった。  さらに、破局噴火や小惑星の衝突で、人類滅亡の危機に(ひん)したこともあった。この時は、俺もここまでだと思った。  だが、俺は生きている。  人類は滅亡しなかったのだ。  人類万歳!  ……喜んでばかりもいられないか。  今まで一等になったことは、一度もないからな。  年に一回しか開催されないのもつらいが、一度に一枚しか購入できないのもつらい。  こうなったのも、大昔のギャンブル狂のせいだ。  はるかな昔にギャンブルは原則禁止になった。  ギャンブル依存症となり、身を亡ぼす奴らが続出したからだ。  中には、海外で大活躍中のプロスポーツ選手が稼いだ膨大な金を使い込んで逮捕されたという奴もいた。ちなみに、そいつは通訳者で、いろいろとその選手を支えてきた人物だったらしい。  そんな連中のせいで、ギャンブルを禁止する法律ができた。  競馬や競輪は観戦するだけのものになり、パチンコ台は購入して遊ぶおもちゃになった。  国内のギャンブルは絶滅したかのように思えたが、一つだけ残ったギャンブルがあった。  それが宝くじである。  宝くじもまた他のギャンブル同様、禁止されそうになっていたのだが、国民の猛反対にあい、これだけ例外になった。  だが、そんな宝くじも、従来通りに運用していいということにはならず、開催は年に一回、購入枚数は一人一枚、十八歳未満は購入禁止という制限が付くことになった。  いずれも、俺がはるか昔に歴史の授業で習ったことである。  俺が初めて宝くじに興味を示すようになった時も、法律はこのままだった。  そして、法律は今まで一度も変わることがなく、現在に至る。
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