いつか必ずあなたのもとへ

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 単純でしょうか? でも、僕にとって、初めての女性と二人きりの食事であり、ごちそうをしたという経験だったのです。当然と言えば、当然だと思います。もしかしたら、誰かに感謝されたという経験自体初めてだったのかもしれません。だから、普通の人にとって、当たり前の行動や言葉でも、特別なことだと受け取ってしまったのかもしれません。  ランチを食べ終えた後、僕は喫茶店に行っておしゃべりをしようと考えていました。そして、そこで、なんとかして七夕デートに誘おうと考えていました。その喫茶店も、ネットで調べた洒落た喫茶店です。女子が行きたい喫茶店ランキングで四位に入っていた店です。何で、一位のところへ連れて行かなかったのかって? 一位に連れて行ったら露骨かなって思ったんです。ああ、こいつネットで調べたなってバレバレかなって。でも、ランクが下の店を選んで、ハズレだったら嫌なんで、四位がちょうどいいかなって思ったんです。  でも、恵奈は、「すみません、実は今日、午後から職場に顔を出さなければいけなくなってしまったんです。本当にごめんなさい」と言いました。
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