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男の人は小さくうめき声を上げると、よろよろと起き上がった。わ、結構好みかも。なんというか、イケメンなバンドのボーカルランキング上位に入ってそうな顔立ち……をそのまま大学生に若返らせたような感じ。
黒猫を彷彿とさせるようなふわふわの髪の毛に、真っ赤なアーモンド形の瞳。控えめな鼻と薄い唇。だけど、それよりも目を引いたのは
「あ、あの! 血が出てますよ。大丈夫ですか!?」
あわててハンカチを取り出すと、彼に渡した。鼻には流れて固まった血、そして頭からも血を流していた。ハンカチを差し出してから気づいたけど、これ重症じゃん。ハンカチでどうこうできるレベルじゃない。
それなのに誰も、蟹原部長も、アイリさんも、ロリコンおじさんも、当の本人さえ気にしている様子はない。
「大丈夫です、もう治ってるので」
男の人は、少し困ったような顔で笑った。
「で、デスヨネー……え?」
え、なに? 大丈夫……? 大けがっぽいのに……? いや、血糊? とか頭がぐるぐるしてると
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