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「おいポチ、ボサっと立ってんなカス」
蟹原が男の人を膝カックンした。っていうか、ポチ? って何?
「ひゃわ!」
男の人がこちらに倒れてきて、抱き合う形になった。
「わー! わーちょっと!」
血の匂いに混ざってラズベリーキャンディーの香りがして、香水? シャンプー? ……って私は変態か!?
「ご、ごごごごめんなさい!!」
男の人が涙目になってすごい勢いで離れていってしまったので、ちょっとショックを受けた。ひょっとして私臭い? 自分でくんくんと匂いを嗅ぐ……ってそうじゃなくて!
「何するんですか!?」
蟹原部長を睨みつけると、彼はへらへらと笑って
「お前の仕事や。ポチの世話」
男の人(ポチ)を指さした。
「……え?」
「え? やない。お前は今日から、コイツの飼い主やから。給料発生してるんやで、サボるなよ」
嘘でしょ?
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