第二話 ポチ

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「えへ。僕、嬉しいです。こんなに人間さんに優しくされたのはじめてで」 「えー」 「みっちゃんは優しい人です」 「そんなことないよ」 「えへへー。みっちゃんすきですー」  ポチの笑顔に困惑しつつ、真意を探ろうと視線を部屋中に巡らせた。何もしてないのに溺愛されるのはフィクションだけだ。 「さてはオメー、マンション買わせる気だな」 「えっ!?」  私はソファーから飛び降り、ポチと距離を取る。 「だ、騙されないぞ!」 「???」  本気できょとんとしている。演技だったら怖い。 「……な、なんで?」 「はにゃー?」  なんだその小動物みたいな返事は。ていうか、 「何で私のこと好きなの?」 「みっちゃんは遊んでくれるからです~」  即答。しかも、小学生みたいな理由で。  ポチは、にこにここちらを見つめている。そういえば、この子と関わることが『仕事』なのを忘れてたし、ああだから仕事なんだってなんとなく察した。  頭を押さえて「はー」とため息をつくと、ポチが『あ!』と何か思い出した風に言った。
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