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プロローグ
私の人生は搾取されるためにある。兄に覆いかぶされてその行為が終わるのを待っている私はまるで、冬虫夏草に寄生されて精気を吸われる茸のようだった。
まるでずっと悪夢を見ているようだった。知らないおばさんの「障害のあるお兄さんを支えていて偉いね」も、母の「兄弟なんだからお兄ちゃんの面倒をちゃんと見なさい」も全部全部嫌いだ。
巷にあふれるピュアな知的障碍者と健常者の心の交流を描いたヒューマンドラマも全部全部嘘だ。兄に犯され、兄の子を妊娠して、医者に無麻酔で綿棒を突っ込まれ内臓をかき回されて泣き叫んでいる今このときだけが私の本当だ。
どうして私がこんな目に会わなきゃいけないんだろう。前世で、そんなに悪いことをしたのだろうか。そうでも思わないと生きていけなかった。私の人生は、私が生まれた瞬間から一生、二歳年上の兄の奴隷になることだと決定づけられていた。
兄の世話をし、クラスメイトに白い目で見られ、癇癪を起こした兄に殴られて、大きくなった兄の性欲処理をさせられ妊娠し、今脱胎手術を受けている。
「おか……あ……さ……」
泣き叫びすぎて枯れた声で母の名を呼ぶ。馬鹿だ私。あの人はきっと今も仕事中だろう。それにあの女は、私のことなんて自分のスペアくらいにしか思っていない。
何で私がこんな目に合わなきゃいけないんだろう。激痛に、今までの記憶が走馬灯みたいに流れて、いっそ死んでしまえたらって思った。
何度も何度も気絶と痛みによる覚醒を繰り返して、乾いた涙の跡が頬と首に貼り付いて痒みさえ感じる頃、私は気づいたら病院の個室のベッドに横たわっていた。
そして、男に出会った。
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