横浜の街は…

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横浜の街は…

コンチネンタルホテルに一泊する予定で大きな荷物を預けるため、まず、わたしとシュウちゃんは横浜美術館とは反対側のパシフィコ横浜方面の出口から外に出た。 「ここ来るの久しぶり」 わたしはつぶやいた。 以前、わたしの父親が働いていた会社のビルが見えて。 いまは父とは離れて、私は母と暮らしていて母子家庭で私としては何だか複雑だけれど、懐かしいなあと思ったり。 「横浜にはなんだろう、思い入れがあるの。いろいろな意味でだけれど」 ちょっと複雑なような切ないような表情をするわたしの顔を覗き込むシュウちゃん。 「前、電話で聞いたけどそうだよね、梨沙にとって横浜っていろいろな意味で複雑だよね。でもさ、俺とのデートした場所、想い出の場所に塗り替えよう?」 「秀平...」 いろいろ察してくれていたんだ。やさしいな。 ギュッと手を熱く握ってくれたからとても心強く感じた。 横浜はわたしにとっていろいろな複雑な心境を抱く街だけど...。 シュウちゃんの横顔を見ていると、そっか、横浜は過去の思い出だけの場所じゃないんだ。 シュウちゃんの地元なんだって思って。 大好きなシュウちゃんの横浜をいい想い出の場所にしたいと思った。 そしてコンチネンタルホテルへ着いて、ふたりは荷物を預けた。 「これから行くとこわかってるよね?」 「観覧車?」 「それは夜のがムードあるだろ。まずはベイブリッジ」 シュウちゃんはそういうと携帯を取り出して、タクシーを呼ぶ電話をした。 夢にまで見た、ベイブリッジ、大黒埠頭へ行く。
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