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……いや、違う……あれは緑の服なんかじゃない……よくよく見れば、それは服ではなく緑色の皮膚をした人間だ。
それに、背中に背負っているものもリュックサックではない……その丸みを帯びたフォルムに整然と六角形の並んだ模様……背負ってるのは甲羅だ!
さらにざんばら髪の頭頂部は丸く禿げたようになっているが、それは皮膚とは思えない、白い陶磁器の皿のような光沢を有している。
「か、カッパ!」
それは、カッパだった……あのダンスのように跳ねたり回ったりしているのは、先刻まで降っていた雨を浴びて、お皿にもたっぷりの水を満たして喜んでいるのだろう。
「カッパ、ほんとにいたんだあ……」
雨上がりの爽やかな朝の空気の中、私はベランダで独り、しばし呆然とその幻獣を見つめていた……。
(雨上がりの空の下で 了)
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