歪んだ世界

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「あらあら、落ちちゃったの?」 母親はそういうと テレビを見ながら カウンター越しのキッチンで 洗い物の続きを始めた。 僕は13階のベランダから落ちていった。 と、その時 誰かが僕の手を引いた。 『あと一回、元に戻してあげる』 死んだ兄さんの声でハッとした僕は 13階のベランダに立っていた。 空が青かった。 あの日、兄さんは僕をかばって死んでいった。 その日から母さんは僕を見ない。
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