おばけのくーちゃん 感情の旅

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くーちゃんが家を出たのは夕方。外はもうすっかり暗い夜です。 くーちゃんの旅は暗い暗い森から始まります。 「ここはどこだ?」 暗い暗い森にくーちゃんは迷子になりました。 周りからはオオカミの鳴き声が聞こえてきます。 それなのにくーちゃんは真顔です。 怖くないのかな? くーちゃんは暗い暗い森をひたすら歩きました。 すると一匹のオオカミさんと出会いました。 そのオオカミさんは震えていました。 「ねえ、キミ。どうして震えているの?」 真顔で聞くくーちゃん。 「僕、夜が怖いんだ」 オオカミさんは震えていました。9c3eb1fb-a43a-4c30-b180-0ba352598a14「怖い...?」 「そう、怖いんだよ。だから震えてるんだ」 くーちゃんは真顔です。真顔で考えます。 「オオカミさん。怖いって感情なの?」 「そうだよ、怖いは感情だよ。どうして聞くの?」 「僕は今、感情なしなんだ」 「感情なし?」 オオカミさんは感情なしのことがわからないようです。 くーちゃんは感情なしのことをオオカミさんに言いました。 「喜びと悲しみと怒りとかがわからないんだ。だから僕は今、感情を探す旅に出てるんだ」 「そうなんだね。くーちゃんは怖いっていう感情を見つけたよ」 「怖い...」 くーちゃんはオオカミさんから『怖い』の感情を教えてもらいました。 くーちゃんは旅に進まなければなりません。 くーちゃんとオオカミさんのお別れの時間です。 「それじゃあ、僕はもう行くよ」 「うん。感情の旅で感情をたくさんわかるといいね。頑張ってね」 「ありがとう」 そう言ってくーちゃんはオオカミさんとお別れをして森を進みました。
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