おばけのくーちゃん 感情の旅

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暗い暗い森は相当広かったみたいです。 くーちゃんが森から出るのに朝まで時間がかかりました。 くーちゃん疲れてないのかな? くーちゃんは森から出ても休憩なんかしません。 ずっと前へ進んでいきます。 「ここはどこだ?石だらけだ」 ゴーゴーッ ピチャピチャ ジャブジャブ 近くから水の音が聞こえます。 くーちゃんは音が聞こえる方へ向かっていきました。 「僕は川に来たんだ」 川は広く大きいです。水の流れも早いです。 くーちゃんは考えました。 「どうやってこの川を進もうかな」 するとなんでしょうか? 近くに小さな木の橋がありました。 くーちゃんは橋に近づきました。 橋はとても古くて、上を歩けば壊れそうでした。 でもくーちゃんは気にしませんでした。 だってくーちゃんはおばけで、空を飛んでいるんですから。e4d0ac1d-3081-4921-ad37-3cd7a915e0bd 「シクシク...うぅっ」 くーちゃんが橋を渡ろうとした時、誰かが泣いていました。 カッパが泣いていました。 「君、なんで泣いているの?」 「私のキュウリがほとんど川に流されてしまったの。もうこの一本しかないの」 カッパさんはキュウリが大好物。キュウリのほとんどが川に流されてしまったのです。 「もう私、悲しいよ」 「...悲しい?」 くーちゃんは『悲しい』がわからないのです。 「カッパさん。悲しいって感情なの?」 「そうだよ、悲しいは感情だよ。どうして聞くの?」 「僕は今、感情なしなんだ」 「感情なしって感情がないの?」 くーちゃんはカッパさんの質問に対してうなずきました。 「喜びと悲しみと怒りとかがわからないんだ。だから僕は今、感情を探す旅に出てるんだ。今僕はオオカミさんに教えてもらった怖いって感情をしか知らないよ」 「そうなんだね。くーちゃんは今、悲しいっていう感情を見つけたよ」 「悲しい...」 くーちゃんはカッパさんから『悲しい』の感情を教えてもらいました。 「嫌なこととかがあったとき、諦めそうになったときが悲しいんだよ」 カッパさんはくーちゃんに簡単に説明しました。 くーちゃんは旅に進まなければなりません。 くーちゃんとカッパさんのお別れの時間です。 「それじゃあ、僕はもう行くよ」 「うん。感情の旅で感情をたくさんわかるといいわね。頑張ってね!気をつけてね!」 「ありがとう」 そう言ってくーちゃんはカッパさんとお別れをして川を超えて前へ進みました。
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