パーティ、パーティ。

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 本当はみんなと友達になりたくて、気を引きたくてちょっとした悪戯をしてしまったのだと。傷つけたかったわけではないのだと。もう二度としないから、追い出すなんてこと言わないでほしい、と。  これ、聞いてどう思う?  私が語っただけじゃ、伝わらないわよね。つか、冷静に考えるとおかしいのよ。便座に塩酸塗るとか、人を突き落とすとか、それが悪意のない悪戯だなんてことあると思う?仲良くしたくてやるようなことだと思う?  ええ、まったくよ。まったくもってありえないのよ。  それなのに私達は当時――ああ、本当に子供だったわ。彼女の迫真の演技と謝罪を信じてしまったの。彼女にも悪気はなかったんだって、そう思ってしまったのよ。  恐ろしいことに、彼女はそれから一か月くらい、本当に何もしなかったの。本気で反省したそぶりを見せて、みんなを油断させたのよ。私達も、彼女は改心したんだって、もうこのクラスで恐ろしいことは起きないんだって思ってしまった。  でも、それが間違いだったわ。  ある時、彼女はみんなに頭を下げて言ったの。 「あと一回。一回だけ、みんなに償うチャンスをくれないかしら。あたし、みんなにお詫びがしたいの」  もうすぐ自分は転校する。その前に、みんなにお詫びのパーティがしたいと、そう言ったのよ。  もし、いろいろ起きた事件の直後だったなら誰もそんな話は信じなかったことでしょう。けれど一か月、しおらしく反省した姿を見せられた後だったわけ。  私達みんな、信じてしまったわ。  彼女の家に招かれたの。立派なお屋敷で、執事がいて、大きなテーブルがあってね。そこで、大きなチキンとか、シューマイとか、ハンバーグとか、とにかくたくさんの料理が出て好きなだけ食べていいって言われて。  最初は警戒してたけど、一口食べたチキンが本当に美味しくてね。みんな、段々今までの確執を忘れて、出された料理をおなかいっぱい食べちゃったわけ。  その後のことは……うん、ニュースにもなったから、知ってるわよね。 「痛い痛い痛い痛い、おなか痛い、痛いい、痛いいいいいいいいいいい!」 「ううううううう、ううううううううううう、ぐうううううううううううううううううううっ」 「た、たすけ、てえ……だれ、か」 「げええ、ええええええええええええええええええええ!」  パーティが終わる頃、地獄絵図が始まっていた。  即効性の毒じゃなかったのよ。だからみんなすぐに気づかなかった。味だっておかしくはなかったから。  私たちはその場で嘔吐して、下痢をして、腹痛にもだえ苦しむことになったわ。  倒れるクラスメートたちを、彼女は笑いながら見ていた。そう、あいつは、ずっと笑って見ていたのよ!
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