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「はい、今の見た?見たね?」
僕はモニター横の壁をばしばしと叩いて言った。隣には、勇者である僕の相棒であるヒロインちゃんが控えている。
「君は魔王なんだよ!いくらもやしっ子でも、魔王は魔王なの!世界征服したいんでしょ?魔族の楽園作りたいんでしょ?だったらもう、これくらい厳しい態度とらなきゃ!」
「え、えええ……」
僕とヒロインちゃんが演じたハリウッドばりのドラマ映像を見せられつつ。
現実の魔王である彼――ひょろっとしたもやしっ子の眼鏡の青年は、困り果てたように言った。
「い、嫌ですよう。部下さんたちに酷いことしたくないです。ていうか、なんで敵である勇者さんたちにこんな指導されないといけないんですかあ?」
「お前がそういう態度だからだよおおおおお!倒せないの!そんなんじゃ罪悪感やばすぎて戦えないの!無理なの!もっと悪役なんだから悪役らしくして!あともうちょっと声低くして威厳出して筋肉つけてええええ!」
「そんな無茶な!」
ああ女神様。
僕達を異世界転移して勇者として連れてくるならば、もうちょっと魔王様のキャラと設定考えてほしかったです!
これじゃあまるで、僕達の方がいじめてるみたいじゃないですか!
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