再会

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◆◆◆ 『相手が望んでいないことに、どこまで干渉していいものか。』 中々の難しい課題に、ここ数日頭を悩ませた。 赤月は、俺が関わってくるのを嫌がっている。 でも俺は、今のままでは良くないと思っている。 学校を離れて何をしているのか。 何で一匹狼みたいになってしまっているのか。 同級生達とは一線を引き、まるで自分の世界だけで生きているような彼が、どうしても気になるのだ。 確実に言えることは、俺の考えをただ押しつけるようなことは逆効果だと言うこと。 せめて【会話】出来るくらいの関係値まで仲を深めたいところだが…。 「…うーん、でもアイツ、全力で俺のこと拒否ってるからなぁ。」 夕飯のスパゲティをフォークで突きつつ、頬杖をついた。 テーブルには俺一人。赤月は部屋にいて、出てくる気配がない。 今日のミートソースは随分と美味しく出来た。 自慢したくて、赤月も食べるかなと声はかけたが無視された。 一応取り分けてはあるが、これも明日の朝には自分で消費することになりそうだ。 亜希と同室だった頃は、朝も夜も一緒にご飯を食べていたから、一人で食べるのは未だに慣れない。 (…ちょっとくらい寄り添ってくれても良いじゃん。) 思わずため息を吐きそうになった時、ガチャリと扉の開く音がした。 部屋から出てきた赤月は、ジーンズにパーカーを羽織った姿だった。 「赤月!ご飯食べる?」 「食欲ないんだよね。じゃあおやすみ。」 こっちを一瞥もせず、玄関に向かう。 今日もまた出かけるらしい。 少し乱暴にフォークを置いて、思わず彼の後ろを追いかけた。 「ねえ、何時ごろ帰ってくるの?赤月って頭良いんだよね?今日の課題、教えて欲しいところがあるんだけど。」 「課題…?ちかちゃんはいつから俺に勉強教えてもらえると勘違いするようになったの?」 「ルームメイトなんだから、頼らせてよ。」 「ルームメイトじゃなくても、頼れる人は他にいるでしょ。」 ぴしゃりと言われてしまい、黙り込むしか無くなってしまった。 あー言えばこー言う! 何て言い返そうかと考えているうちに、赤月は靴を履いて行ってしまった。 何であんな態度なんだ。 全然分からない。 彼が何を考えているのか、せめて少しでも分かればちょっとずつでも前進するのに。 (…そうか、まずは相手を知るっていうのも…) これは中々に良いアイデアだと思った。 もしかしたら、そこから見えてくるものがあるかもしれない。 …着いていってみようか? しばらく玄関に突っ立ったまま悩んだが、心を決めて彼の後を追うことにした。
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