再会

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赤月に連れて来られたところは、また別の場所の薄暗がりだった。 奥はフェンスで行き止まりになっていて、赤月の怖い顔を真正面から受け止めざるを得なかった。 「…で?何でここにいるの?」 「あの…赤月が何をしてるのか、後を追ってました…。」 「へぇ、正直だね。」 確かに、一瞬誤魔化そうかとも思った。 『遊んでたらたまたま見かけた』 『寮監に見つけて来いと言われた』 『急ぎで伝えることがあった』 それっぽい言い訳ならいくらでも言える。 でも、この場凌ぎの嘘を吐いたら、赤月がもっと遠くへ行って戻って来なくなってしまう気がした。 「本当ごめん。お前のこと知りたいなって思って…。」 「どういう事?」 「赤月のことを知れば、何かが変わるんじゃないかなと思ったんだ。」 「それで探偵ごっこ?」 「…いや、本当反省してる。ごめん。」 しばらく沈黙した後、赤月は深いため息を吐いた。 「ちかちゃんって本当に阿保で馬鹿でどうしようもないね。」 「いや、もう返す言葉もないと言うか…。」 ごもごもと申し訳なさを伝えれば、険しい顔から、段々呆れた顔に変わっていった。 「ここまでしつこくて面倒臭い奴だったなんてなぁ。…取り敢えずちかちゃんはもう帰りな。」 壁に寄りかかり、顎で行くように促される。 素直に赤月の言うことを聞き、その場を離れることにした。 「えっと…、赤月は帰らない…?」 「俺のことはもう良いでしょ。ほら、さっさと帰りな。」 本当は、あの男性のことを聞きたい。 関わっても大丈夫な人なのか確認したい。 変な事に巻き込まれてはいない? でも、今の状況ではこれ以上何も言わない方が良いだろう。 大人しくその場を後にした。 ◆◆◆ 「君、さっきの子だよね?」 トボトボと歩いていたら、さっきの島と呼ばれた男性に声をかけられた。 まだこの近くにいたのか。 どうしようかと迷っている間にも、島は言葉を続ける。 「当麻くんのお友達って珍しいね。予定なくなっちゃったし、良かったら少し付き合ってくれない?当麻くんの話でもしようよ。」 赤月の話…。それは少し気持ちが揺れる。 でも、この人は赤月と面識はあるようだが、そもそも安全な人なのかは分からない。 それに、勝手なことをすれば益々赤月を怒らせてしまいそうだ。 断ろうとした時、島に手を引かれた。 「決まりね。何食べたい?」 「えっ、あの、俺もう帰るところで…!」 「固いこと言わないでよ。」 そのまま強引に連れて行かれた先は、普段なら学生だけだったら入らないようなお店で、どこか大人っぽい雰囲気の漂うお洒落めいた所だった。
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