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黒いものがわたしをすっぽりと包みこむのを感じた、その時だった。 来た。 でも窓に近づいてはこない。 どうしてそんな遠いところにいるの? ほら、おもてなしの準備は見えるでしょ? わたしは離れたところを舞っている鳥に目を凝らし、心臓が止まりそうになった。 なんだろう、あのまとわりついているものは。 見慣れない、ひとつも魅力が無い、ちっとも似つかわしくないものは。 わたしのお客様に わたしのしらない不愉快なものがまとわりついている。 ゆるせない なにもかも わたしにこんな思いをさせるものを、わたしはゆるさない。 あなたがわるいのだ あなたを待ち続けていた者に、こんなにひどい仕打ちをしたのだから。
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