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「……ダメだ。完全に目が覚めた」
上体を起こし、頭を振った。半開きのカーテンに手を伸ばす。
瞬間、青白い光が視界を染めた。びくりと肩が跳ねる。空が割れるような音が鳴り響き、私の心臓を激しく捻り上げた。胸の痛みに顔を顰め、ぎゅっとシャツを握りしめる。全身が脈打ち、自分が自分でないような感覚に陥る。
――ただ、驚いただけだ。
不安な気持ちを振り払うように自分の頬を叩いた。喉がカラカラでうまく唾を飲み込めない。くちびるが乾燥している。体温が上がったせいだろうか、自動運転にしていたエアコンの風が強まった。
「怖くなんかないと思ってたのに」
カーテンを閉じても、現実は何ひとつ変わらない。見えない振りをしても、聞こえない振りをしてもそれはすでに存在していて、不確かな何かを私は認識してしまった。
嵐は、ただ待つだけで通り過ぎていってはくれない。
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