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 「で。最近、木本さんとはうまくいってんの?」  「もー丸吉のおかげで、木本さんに近づけているよ。」  とりあえず、新藤に頼まれたわけではないが、自然と試練達成に向けて、恋の成就に向けて走り出していた。  「そーだぜ。俺様のおかげで、新藤の恋なんてすぐに叶うさ。俺は挫折とは無縁なのさ。」  この二人は馬鹿なのか。今の状況を冷静に見ることができていない。新藤に至っては悪徳ストーカーへの道を進んでいるような発言をしている。丸吉のポジティブ思考によって悪い方向に影響を受けている。新藤をサポートする丸吉は、もはや木本さんに嫌われているような印象を受ける。  けれど丸吉には文句を言うことはできない。せいぜいできるのはアドバイスぐらいだ。俺が直接木本さんに関わることができれば、いいのだけれど、どうも木本さんからは嫌な雰囲気を感じる。その嫌な感じの正体は全く分からないのだけれど、体が彼女に近づくことに拒否反応を示している。  けれど、今の状況を考えると、俺が一歩踏み出すときなのかもしれない。  「二人には申し訳ないが、木本さんとの関係が良い方向に発展しているようには見えないぞ。むしろ退化しているように感じる。」  「え?木本さん、今日、教室で目があったとき、すぐに目をそらさなかったよ。そらした後の雰囲気、恥ずかしそうにしてたな。きゃわいかった。」  新藤が誇らしく言っている。こいつは本当に馬鹿なのか。  「いや、目があっている₌好きになっているわけではないぞ。」  これは絶対、目線の方向が重なっただけとか、逆に睨まれているかのどっちかだ。    「おい、丸吉よ。ちょっとお前にある提案をする。新藤の恋応援プロジェクトについてだが、強引に木本さんの気を引くことにした。」  正直、最終試験の期限が迫ってきている。合格するにはどうすればよいのか必死になって考えた。  「ん?何?」  「ちょっと荒療治だが、新藤と木本さんに一時的に妖怪の見える世界に連れていこうと考えている。」  「おっ。大丈夫なのそれ。」  「あとで、幻覚をみせていたような感じにしていれば大丈夫だと思うぞ。」  「で、具体的にはどのような作戦。」  「簡単に言うとだな。木本さんを襲う妖怪を新藤が助けた風に見せようと思う。実際は丸吉は対処するけどな。妖怪は一番低レベルの妖怪を使う。」  「そんなことしたら、師匠から怒られない。」  「そこは大丈夫だろ。師匠からは何をしてもいいとは言われている。」  「それなら、問題なさそうだね。」  師匠からは何をしてもいいとは言われているが、新藤と木本さんは実際に妖怪を見るわけだから、二人が妖怪の存在を把握することになる。  作戦の結果がどうであれ、作戦後は妖怪の存在はなかったようにしなければならない。  「丸吉よ。今回の作戦は何がなんでも失敗は許されないからな。」  「そのセリフ、毎回言ってるよ。」  とりあえず、作戦の問題点はないか、改めて考えることにした。    
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