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今日も痛々しい視線を背中に感じる。
いつも家庭クラブの活動が終わる19時過ぎ、美術室前の廊下を歩いていると、気色が悪いというか、全身を針で突かれている感覚に襲われる。
あーストーカーに追われている人の気持ちってこんな感じなんだな。
テレビでストーカー被害にあっていた最中に、警察の対応が不十分で、殺人事件にまで発展した内容のニュースが今日の朝、放送されていた。まー私はいざとなれば力尽くで人を倒すことは造作でもないことなのだが。
そのストーカーじみた視線を持つ者の正体は同じクラスの新藤 渉?いや登?だっけ?私は人の名前を覚えるの苦手だからどちらでも良いのだが、一度、彼と目があったとき、彼の目は純粋に輝いていた。自意識過剰かもしれないが、彼は私のことが少し気に入っているかもしれない。同じクラスメイトでもあり、家庭クラブも一緒の早苗が、いつも新藤から鈴華のクラブ内での様子はどのような感じが聞かれると言っていた。
気持ち悪さしかないのだが、本当にどうでもいい。というより気になるなら直接話しかけろよ。てか、なぜ私より美人で評判のいい、早苗になら普通に話しかけることができているのだ。私自身、仲良くなる前は緊張するぐらい、品のあるオーラをはなっていて、穢れたものは寄りつかなさそうな綺麗で、みんなから尊敬されている早苗である。
あいつとはクラスメイトなのにまともに話した記憶はない。私はどちらかというと話しかけにくいオーラを放っているからだろう。基本的に人と会話するのがめんどくさく感じる時が多い。
今日の活動で作ったクッキーはなぜかしっとりして微妙だったし、また痛々しい視線を感じるし、最近良いこと何もないなと考えている。
「やっほー!鈴華ちゃん。今日も何か作ったの?」
こいつは最近、同じクラスに転校してきた、確か丸田、いや丸藤だったか。ん、丸吉だったような気もしてきた。初対面の時からすげー慣れ慣れしくてうざいやつ。
最近、良い事どころか、こいつ含めて悪いことばかりな気がしてきた。
どこかで、人生は良い事、悪い事の半分で成り立っている。だからこそ一喜一憂することなく、誠実に生きた方が良いと聞いたことがある。
誠実には生きているような気はするが、誠実に生きてもずっと悪いことばかりな気がしてきた。悪いことが起きたときの、ストレスの発散ってみんなどのようにしているのだろうか。
「なんか。クッキーの匂いがするぞ。今日はクッキー作ったのか。俺にくれよ。」
はー。またかよこいつ。無視するのが最適解と決めて黙りこむ。
「もー。今日も俺に話しかけられて緊張してんの。鈴華ちゃんはかわいいなー。」
はー私の周りは、ひたすらじっと見つめてくるストーカーと、ずっとまとわりついてくるストーカーの二種類が存在している。
ストーカーという言い方は言い過ぎかもしれないが、いらいらさせてきている人達の処方箋を私は知りたい。
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