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*13-2
吐精して力が抜けたユズの体が崩れそうになり、アキが慌てて抱き留める。そうして湯船の淵に抱きかかえるように座り、ユズの頬を撫でた。
「ユズ、大丈夫?」
「ン……なんとか……てか、アキくん……」
「うん?」
「まだ、その……繋がって……」
繋がりを解かないまま抱きすくめられた格好になっている現状に、ユズは羞恥心を覚えるのか、身を捩って離れようとする。しかし力が入らないのか、思ったように身体が動かない。
腕の中で一人わたわたと泡喰って暴れているユズの様子は無防備の愛らしさがあり、静まっていたはずのアキの雄芯が再びユズの中で目覚め始める気配がした。
繋がりを解かないままで熱を吹き返してくるアキに、ユズは驚きを隠せない顔を向けると、アキはバツが悪そうな、それでいてまんざらでもない顔をしている。
「アキくん?」
「だってユズ、すっごい、かわいい、から……」
「だから、って……ッあ、ッや、あ、あぁン!」
「ユズのここも、気持ち良くしてあげるね」
「いい、ってばぁ……ッあぁ、ンぅ!」
白濁を吐き出したのちに熱を吹き返した屹立は、ユズのナカで硬度を増し、先ほどよりも濡れた音を立てながら貫いてくる。ぬめりを増した肌の感触にユズはすぐに絆されてしまい、堪える間もなくアキの腕の中で彼を味わい始めてしまう。
熱く溶けて繋がり合った肌は、甘い悲鳴交じりの嬌声に煽られるように体温をあげ、ひとつになっていく。
アキを感じて弓なりに身体を反らせるユズの首筋に、アキが歯を立てて後を刻み込む。その痛みすら今のユズには快感の一部で、刻まれた所有権に悦びの声をあげる。
「好き、陽人、好き……!」
「俺も好きだよ、柚樹……!」
名を呼び合い、身を捩って唇を重ねながら熱をもって体でも繋がり合う。お湯の中へ溶け込むように注がれる快楽に溺れるように互いへの想いと名前を口にしながら、ふたりは再びの絶頂を迎える。悲鳴はアキの口中に放たれ、ユズの体内にはアキの熱い想いが放たれる。弧を描いて放たれたユズの白濁は、パタパタと音を立てながら湯船の中へ沈んでいった。
遠出をして帰ってすぐに激しく何度も求め合ってしまったので、特にユズは身体の力が抜けてしまい、アキに抱えられて寝室へと連れていかれた。
着替えや水分などをかいがいしく世話されてようやく呼吸が落ち着いた頃、アキがすまなそうな顔をしてユズの傍に座って顔を覗き込む。その顔はイタズラを叱られた子どものようで、ユズは思わずくすりと笑って彼の頬を撫でる。
「そんな顔しないで、アキくん……俺だって煽ったようなものなんだから」
「でも、色々あって疲れてるのに……ごめん、やりすぎた……」
「うん……でも、やっぱりアキくんに愛されてるってわかったから、嬉しいよ」
弱く微笑むユズの笑顔にアキは庇護欲を刺激されるのか、反省をしながらも再びユズを抱きしめていくつもキスをしてしまう。頬ずりするように抱きしめてくるアキの仕草がくすぐったくてユズが笑うと、アキは改めてそっと抱きしめて唇にキスをした。
「本当に、お疲れ様、ユズ。よく頑張ったね」
やさしいアキの言葉と声にユズは目を潤ませ、彼を抱きしめ返して答える。
「アキくんが一緒にいてくれたからだよ。ありがとう」
ひとりきりであれば、きっと成し得なかったこと、分かち合えなかったことが達成できた、大変な一日だった。それを、心から愛し合っているアキと成しえられたことは何よりユズにとっての誇りであり、宝だ。
「俺、アキくんと出会えて、本当に良かった」
小さく呟いたユズの言葉に、アキが喜びと感謝で目を潤ませていたのを、ユズは気付いていない。だけど、触れ合う肌の熱さから想いが通じていることはよく解っていた。
そうしてふたりはいつものように同じベッドに並んで眠りにつく。互いが互いを求め合い惹かれ合って出会えた奇跡を改めて噛み締めながら。
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