第12話 龍神との出会い

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第12話 龍神との出会い

龍間神社 そこはとてもこじんまりとした神社で、 社務所もなければ人は誰もいない。 けれど、竜はいる。 一礼して鳥居をくぐった後、一歩足を踏み入れると 得も言われぬ温かく、優しい気に満ち溢れていた。 本殿は小高い山の上。 長い階段を登る。 「うわっ」 途中蜘蛛の糸が顔にかかる。 「ひゃあ〜」 虫が苦手な水七子はびびる。 けれど実はこれ、スピリチュアル的には幸運のサイン。 蜘蛛の巣は獲物を捕まえることから、蜘蛛の巣や蜘蛛の糸が身につくということは、 これから幸運が訪れるサインなんだそう。 それが訪れたばかりの神社でやってくるのだから、 竜のお力を感じずにはいられません。 静寂の中 木漏れ日が差し込む。 (コウちゃん…お仲間がいっぱいだね) コクコク 若干テンションの高い虹龍。 やはりこの場所が神聖な所だと感じているのか。 階段登りきった先には、瞳の光る龍の欄間。 なんとも神秘的。 「これは絶対夜動いてそうね」 本殿に向かうと、その中には… 「黒龍神様!」 水七子には本殿の中いっぱいに鎮座する 黒龍の姿がみえた。 手を合わせこの地に引き寄せていただいたお礼を伝えると、悦びと感謝の気持ちが込み上げてくる。 本殿両横には末社があるようだ。 まずは向かって左側に参拝すると… ドキッ その迫力に驚いた。 本殿より小さいお社の背後は樹が生い茂る小高い山になっているのだが、その土と龍が同化している。 「土龍…」 それは大地や山と一体化している、存在の大きな龍神。 この山も御神体であり、この地を守っているのだ。 「こんなにどっしりと大きな龍神様は、初めて見た!!」 感動と興奮で、胸が高鳴る。 決して階段を上がってきたからではない。 不思議なことに、この神社に来てから体がすー…っと軽く、夏バテ気味で弱っていた心身が軽くなり、疲れがスッキリなくなったのだ。 「これぞパワースポット…」 毎日ビタミン剤を飲むより、龍神様のいる神社に来たほうが圧倒的に疲労が回復することを実感した水七子だった。 次は本殿向かって右側のお社。 先ほどのお社はふたつ並んでいたが、こちらはひとつ。 「あら」 そこには、白龍神様がいた。 お賽銭に10円を収めようとすると、なぜだか手がためらわれる。 (あっ、100円玉がいいのかな) そちらを選ぶと、スッと取り出せた。 (なるほど、白龍様だから銀色の硬貨がお好きなのね) 虹龍もそうよ、とうなづく。 そして反対側は土龍だから茶色っぽい硬貨がよかったのかと、腑に落ちた。 よくきたね 待ってたよ 神社の龍神達の言葉が聞こえ、水七子は幸福感に酔いしれた。 この話を新山さんにしたら 驚くかな?? 喜ぶだろうな 後で写真を送ろうと、境内で何枚かお写真を撮らせていただいた。 ふわり 足取りが軽い 長い階段を今度は降りていると、 木々の間からキラキラ 光がさしてきた。 それが左肩からスッと、 自分の身体に入っていくのを感じた。 温かいものが流れた。 これはっ 竜が入った! まだ若い 紫の竜だ! あぁ、そうか この竜は人間界に行って 修行する竜なんだわ。 頭の上から 竜の世界に通じる光の筋が 繋がった。 (このために…私は呼ばれたのか…) 紫龍はしっかりと、虹龍にあいさつをしている。 こうして水七子は、2頭の竜の付く 竜付き人となった。
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