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第6話 竜の座談会
トップが竜付き人なら、その企業はうなぎのぼりに業績が伸びていく。
昇竜の字の如く、右肩上がりの好成績。
清流園芸も起業してまだ一年の若い会社だが、安定して黒字経営を続けていた。
そのため給与や条件も良く、従業員も満足して働いているため人間関係のギスギス感もなく、とても働きやすい環境だった。
(こんな職場もあるんだ…居心地いいねコウちゃん♪)
植物に囲まれていることもあり、水七子の虹龍もこの職場が気に入っているようだ。
出勤日を心待ちにしているよう。
何より、銀龍ともすっかり打ち解けている。
水七子自身、雪恵と竜の話をすることが楽しくてたまらないので、仕事もおもしろいが
今日はどんな竜の話をしよう
と毎回ワクワクしていた。
店長が竜付き人ということを知ってから、雪恵は店長に話しかけることが増えた。
それもダイレクトに
「店長、青龍がついてるらしいですよ!」
とか
「風浦さん植物とも話せるらしいですよ!」
なんてグイグイいく。
店長もその話題がまんざらではないらしく、
「自分に青龍がついてるなんてうれしいな〜」
と目を細めたり、
「植物の声が聞こえるなんていいね〜来てもらってよかった」
と喜んでいる。
今までそんなふうに言ってくれる人もいなかったので、水七子はそれがうれしく、店長に心を開いていった。
ある日の昼休み。
水七子と雪恵が昼食後コーヒーを飲みながらひと息ついていると、珍しく店長も休憩スペースのテラスにやってきた。
竜付き人3人勢揃い。
「ここいいかな?」
「どうぞどうぞ。珍しいですね、店長がこの時間に休憩なんて」
「契約がすぐまとまったんで、早目に戻れたんだ。また取引先増えるよ~」
コンビニのフラッペとプリンを手に上機嫌。
「店長甘いの好きですよね、いつも事務所でお菓子食べて甘いジュース飲んでる」
「そうだね、こればっかりはやめれないね」
傍目には人間同士の会話。
しかし水七子の目には…その上に竜同士の様子が見えている。
「ふふっ」
思わず笑みがこぼれる。
「何なに、風浦さんの目には何か見えてるの??」
雪恵が目を輝かせて身を乗り出してくる。
「竜付き人が同じ職場で3人揃うこともなかなかないですけど…店長忙しくてあまりここにはいないし。こうやってゆっくり過ごすの初めてですけど、頭上ではそれぞれの竜たちが座談会してますw」
「えー、そうなのー!? 私も見たーいっ」
「それは興味深いね」
青龍は存在感を放ちどっしりと。
虹龍は若干青龍が苦手なのか、少し距離を置いている。
その中間で銀龍が、にこにこ。
「↑こんな感じです。座談会って言っても竜同士は人間の言葉で会話しているわけではないので、テレパシー的なやりとりで伝え合い、それが鈴が響くような美しい音に聞こえます。やっぱりおしゃべり好きの青龍さんが一番音が響いています。次に銀ちゃん、高く澄んだ美しい音色です。コウちゃんは時々チーン…チーンってトライアングルを鳴らすような感じで反応しています。それぞれの音が響鳴し、とても美しい波長です。まるで歌をうたっているよう」
「そうなんだ!おもしろい〜。なんかこの3人で龍神様のいる神社とか言ったら楽しそうですね!店長行きましょうよ!」
「そうだね、いいねー。今行きたいのは僕京都の貴船神社なんだよね。まだ行ったことなくて。神社とかは好きでいろんなところへ休みの時行ったり擦るんだけど」
「貴船は私一度だけ行きましたが、水がきれいで龍神様がいらっしゃいますから、いつかみんなで行きたいですね」
いきたいいきたいっ
それぞれの竜たちも乗り気のようで、
賛成の意をこめて
爽やかな風が吹き抜けた。
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