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第8話 銀龍の秘密
「新山さん!私すごいことができるようになりました!」
タイムカードを押し仕事の準備をすると、興奮気味に水七子は言った。
「えっ?何なに??」
「できたんです!チャネリング!そして銀ちゃんの意識と繋がることで、いろんなことがわかりましたっ」
「えーっ!そうなの!すごいすごいっ。聞きたいー」
鉢植えに水をやりながら、水七子は語った。
「これから銀ちゃんの言葉でお伝えしますしますね…」
雪ちゃん
いつもがんばってるね
ごはんちゃんと食べないとだめよ
夜は早目に寝るのよ
あなたはがんばりやさんだから
無理してない?
私はずっと昔から
あなたを見守ってるの…
「さわりはこんな感じですね」
「やだ、なんかお母さんみたい。泣けてきちゃう」
「そうなんです、銀ちゃんは新山さんのお母さんなんです。しかも前世から」
「えっ!どういうこと??」
「銀ちゃんからのメッセージ、続けますね…」
雪ちゃん
あなたと私は遠い昔
中世のスイスで、
山の中の村で
母子として暮らしていたの。
夫は戦争に出ていて
長い間ふたりで暮らしていた。
私は、あなたのことが大好きで
大切に大切に育てていた。
ある日、村に敵の侵略があり
私達の家も焼かれ
火の手があがった。
逃げ遅れ煙を吸い、息絶え絶えになるあなたを抱きしめながら
私は誓った。
愛しい我が子
助けてあげれなくてごめんね
きっと生まれ変わっても
どこにいても
私が
あなたを守るから…
「その強い想いで、前世のお母様の魂は銀ちゃんの中にあって、今新山さんを見守っているんです」
ツー…
話を聞いて、雪恵は泣き出した。
「銀ちゃん…私の母もう亡くなってるんだけど、もしかして…」
「前世のお母様の生まれ変わりですね。時を超えてずっと、娘である新山さんの側にいて、愛情を注いできたんです。そしておふたりが育った町は自然豊かな土地で、龍がたくさんいた。そのためお母様が亡くなられたあとの魂が、心優しい銀龍と同調して、今ここにいるんです」
「銀ちゃん…お母さんなんだ…うれしい…。お母さんのこと大好きだったから…」
雪恵は懐かしそうに、空を見上げた。
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