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はじまり 小学生の僕
小学生のころ、僕は絵を描くことが好きだった。
よく、漫画のヒーローの名シーンや、キャラクターイラストを写しては、それをクラスの友だちに見せびらかし、
「漫画家の文ちゃんだね!」
と周りの男友だちに騒がれるという、プチヒーローのような子供時代だった。
(文ちゃんというのは、僕の名前が文待晃だったからだ)
そして、僕は自分で漫画を書くようになった。
書いた漫画のタイトルは「紅の鬼炎刀」というタイトルで、男子高校生が主人公のバトル漫画だ。
主人公の高校生、黒羽赤峯は、平安時代から代々街に現れる鬼を滅する家系に生まれ、鬼炎刀という鬼を斬ると炎を発する刀を使って鬼と戦うというストーリーだ。
イケメンで長身の男子高校生で、学ランを着ていて、修行に失敗して右半身が焼けただれているという、小学生が考えたにしては恐ろしい設定のヒーローだった。
これは、なかなか好評を博し、ノートに2冊ほどの漫画を刊行した。
だが、中学校に上がると、周りは女性アイドルや、どんな女子がかわいいか、という話で持ちきりになり、僕は次第に自分で下手くそな絵で漫画を描くことが恥ずかしくなった。なので、この話は完結しないまま、押し入れの奥にしまいこまれることになった。
そして僕は人並みに勉強して、進学校でも、かといって頭が悪くもない、普通のレベルの高校生になった。
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