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「うわあああ!!」
僕は風で服を膨らませながら、ばたばたと手足を暴れさせ、2階から飛び降りる。
「ににに、2階なんだけど、ここ!!」
「大丈夫!俺についてくれば、跳べるよ!」
黒羽の体は猫のようにしなやかに、軽やかに動く。
僕は空中を浮遊しながら、普段見ている星空がいつもと違って見えることに驚いていた。
道路が次第に僕の顔に近づいてきて、僕が地面に激突しそうになる寸前、黒羽は僕の体を抱き留めてくれた。
「こ、怖かった…」
「平気だよ。俺、体鍛えてるからこのくらいは余裕さ」
「どんな修行してるんだよ!」
「んー、崖を登ったり、延々50キロくらい泳いだり?」
僕は自分で決めた設定ながら、黒羽の異常な身体能力に驚きを通り越して呆れる。
黒羽はそのまま僕の手をつないだまま、まるで羽でも生えているように、スピードに乗って走り出した。
縮地法を使っているのか、一度足を蹴ると、黒羽の体は3メートルほど地面から水平に浮かび上がる。それを繰り返すから、まるで飛んでいるようだ。
楽しい!すごい!やばい!と僕は心の中で叫びながら、あっという間に流れていく景色を目に焼き付けていく。
住宅街を抜け、人気のない山間部に入り、僕たちは千の森へと差し掛かった。
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