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8月には、魔法使い達なる為の試験がある。
魔法使いになる為の試験は、とても難しく合格率は、5%前後と聞いた。思わずため息の出る、おもわず僕の試験勉強をする手も止まり少し休憩をする事にした。
窓の外を見ると、昨日から降り続いている雨が、しとしとと降っている。思わず僕は立ち上がり、窓を開け、外の空気を導き入れる。クーラーで冷えた空気を、追いやる様に風は部屋の中で広がるり、窓の外の雲は、どこまで続いている。
(このまま夜まで、雨なんだろうか?)
気づくと部屋の空気は、すっかり夏の暑さを取り戻し、僕は慌てて窓を閉じた。何故かどっと疲れて机に座り直して小さなため息をつく。 それでも僕は、魔導書とも言える僕のノートを、手を取り開く。
ノートの中の分厚くなるほど貼られた天気図の中から、今日の天気図の切の抜きと、その横に書かれた『今日の天気は、雨のち晴れ』と記入された文字を見つめる。今日の文字はいつもより少し整っている。最近なかなか天気予報が的中出来てなかった僕は、それを試験の結果とダブらせて考える様になって来ていた。
そんな焦っていた僕に、今朝の気象予報士のアナウンサーの彼の声は、天啓の様に響いた。
「今日の天気は雨のち晴れです」
彼のわかりやすい解説に今日も感心しながらノートに書き留める。しぼみかけた自信は、大きく膨らんで回復していた。
しかし天気は、午後の今になっても回復する兆しをみせない。
(気にしては駄目だ。今は、黙々と勉強を進めるしかない。解いた問題の分だけ実力が身につく)
そう思いながら、日常と勉強をこなす。
1日を終わる前に、ノートの今日の天気図のところに『今日は、1日中雨』と僕なりの解釈を書いて1日を終えた……。
次の日、雨はあがり晴天の青空がどこまでも続いていた。今日も家族が見終わった新聞から天気図を切り抜き、天気図を見た結果『今日は1日晴天』とノートに書いた。
そんな僕へ、テレビの中でスタジオのアナウンサーが、天気予報士の彼を呼ぶ声が届いた。登場した彼は、いつもの元気な様子で――。
「昨日は、雨のち晴れとお伝えしましたが、雨が残ってしまいましたね。傘を持って行かなかった、皆さんごめんなさい。しかし今日の天気は、この晴天の青空が夜まで続くでしょう。では、天気図を見てみましょう」
と、話し、天気図の解説を始めた。彼の説明は、今日も天気図について、分かりやすく、聞きやすい。僕の理想とする姿だ。
僕は子供の頃、天気を当てる魔法使いみたいな、人間になりたかった。魔法使いはきっと天気を間違える事はないだろ。でも、相手にわかりやすく、伝えてる事もないはずだ。
けれどテレビの中の彼らは、自分の予報とテレビの前の視聴者とに、真摯に向き合い予報を伝える。
僕が目指すべきは……もちろん、魔法使いの様に気象を当て、そして真摯になにものとも付き合う人間もしくは、魔法使いと呼ばれる様な人間だ。これしかない。気象に魅せられ僕は、変化の激しい気象と、付き合うちに自分の姿を定めていけばいい、気象予報士の仕事は奥が深いのだから。
そんな雨あがりの様な気持ちの前に、暗雲の様に試験勉強は立ちはだかる。
8月に広がった暗雲と雨も、10月初旬を過ぎると雨があがり晴天の青空が続くでしょう……
この予報の精度を上げる為にも、僕の気象予報士への試験勉強は続く。
終わり
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