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決戦会場のコンサートホールに到着、くじ引きで決められた出演順から逆順にリハーサルが始まった。私たちは3番目、つまり本番はラストから3番目になる。
あたしたちの時間が来て、ステージに上がりセッティングを始める。
ステージ上では、脚立に上ってライトを取り付けているスタッフさんや、舞台装置をチェックしているスタッフさんたちがいた。
メンバーそれぞれ、楽器をセッティングを始める。
真ん中にドラムの牧子。右側にベースの紅子、その少し前にリードギターの華子。真ん中にはヴォーカル&サイドギターの月子。あたしの場所は左手、客席からは右になる。
キーボードスタンドへ相棒のキー坊を載せ、プラグをステレオに分配、2本のシールド(楽器と音響機器をつなぐケーブル)をステージにいる音響スタッフさんに渡す。
スタッフさんはそれにガムテープをフラグのように貼付け、『BC(ビートチャイルズ)・key L』『BC key R』と書き、ステージ横のジャックに刺した。
いつも出演しているライブハウスや練習スタジオでは、自分たちでミキサーにセットするのだけれど、ここではスタッフ任せ。
なんかプロになったみたいで嬉しい。
舞台スタッフさんは、あたしたちメンバーのセッティング状態をファイルに記入して、それぞれのシールドに番号の入ったカラーテープを巻いて舞台から降りて行った。
客席後方のミキサーブースにいるPA(音響)さんから、マイクを通して声がかかる。
「それではチェック始めます。ドラムからお願いします。バスドラどうぞ」
牧子は首を振りながら、右足でペダルをどんどんどんどん。
「次はスネアお願いします」
スネアの次はタム、ハット、シンバル、そして全部。
ドラムの次はあたしの番。キー坊のメモリーバンクのボタンを切り替えて、一通りの音色をPAさんに聴かせた。
キー坊が大きい身体なのは、真ん中で分割して上と下の鍵盤で違う音を出せるから。今どきのキーボーディストは、小室哲哉さんみたいに、何台もキーボードをステージに用意する必要はない。
次々に、ベース、ギター、マイク。各パートの音響チェックが終わり「バンド全体の音ください」と指示がきた。
牧子の「1,2,せーのっ」の声で、全員コードAのエイトビートを刻む。
32小節でストップの声がかかる。
「それでは、今回エントリーの曲を最初から最後までお願いします」
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