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大会はいったん休憩に入った。
「紫水晶の行方を追った方がいいんじゃないのか?」
「今、衛兵隊が調べているところだ。プロに任せよう」
「これからどうする?」
「去年まではマシャル・システムがなかったわけだし、このまま再開とした方が……」
スタッフさんたちの会話が耳に入る。
次の出番はお兄ちゃんだ。お兄ちゃんはマシャル・システムありきで、バラード曲を用意しているし、あの曲にPAがないとこの広い会場すみずみまで、お兄ちゃんの声はいきわたらない。
「これは、少女探偵団の出番ね。大怪盗、逮捕だぁ~~!」
あたしは心配して舞台袖まで来ていた、ママが手に持っている秋用のトレンチコートを着て、パパのハットも拝借してガニ股で叫んだ。インターポールのバッヂがあれば完璧なのだけれど……
「ブーニア、不審な人を見たっていってたわよね。その人だれだかわかる?」
冷静にハーナが聞いた。
「知らんけど、なんや、豪華な服着とった。匂いは覚えているよ、朝もらったチコレの匂いさせとった」
「よーし、この人ゴミだし、出入り口は衛兵さんたちがチェックしているから、犯人はこの会場の中にいるはずよ」
ベーニが、またあたしの言いたいセリフを横取りした。
「チコレの匂いの後を探すです」
マーギを先頭に刑事犬ワンコーズたちが、犯人の残したチコレの匂いを追って走り出した。
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