BURN!

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BURN!

 スマートフォンから流れるギターカッティング、そしてハイトーンから始まるシンセソロ。  あたしはイントロ5小節目でストップさせた。  お気に入りのお目覚めソングだけど、今日は最後まで聞いている暇がない。  ベッドから飛び起き、カーテンを開ける。朝日が部屋に貼ってあるロックレジェンドたちのポスターを光らせた。  今日は天気。良かった、傘を差しながら重い楽器を背負わないで済みそう。  あたしは、制服に着替えて部屋のドアを開けた。  向かいのお兄ちゃんの部屋は、ドアを開け放ってある。まだエアコン直っていないのかしら? 昨日は練習していなかったからいいけど、アンプにつながなくてもエレキギターの生音は深夜に響くの。  お兄ちゃんの安否確認で、そっと部屋を覗いてみた。  パンツひとつでヘッドフォーンをしたまま床に寝ている。  あたしはヘッドフォーンジャックを抜いて、着けっぱなしになっているオーディオの上のレコードプレイヤーのスタートボタンを押した。  大音響で響くリッチーブラックモアのギターリフで、いきなりむくっと起きたお兄ちゃんがエアギターをしながらヘッドバンギングを始めた、恐ろしき条件反射。  すると階段をダ、ダ、ダと登る音と一緒に、白い影が飛び込んできた。  コックコートを着たパパが、お兄ちゃんと一緒にヘッドバンギングを始めた。 「すてぃーる あいひや」 「ば〜〜〜〜ん!」  2人声を合わせて叫んだ。  あたしは、アホ親子を残して階下に降りて行った。
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