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晴れてほしい理由
部屋の扉を閉めて、何度か深呼吸してからベッドに倒れむと、やわらかい枕とサメのぬいぐるみが受け止めてくれる。
サメを抱いてしばらくベッドをゴロゴロしてから天井をあおいだ。
「応援してるって言われてもな」
天気を晴れにする方法なんて、てるてる坊主を作るくらいしかないのに。
ため息をついて起き上がり、引き出しから材料を選んで机に並べる。
丸めた綿をガーゼで包んでから毛糸で形を作ると、青い油性ペンで顔を描いた。
ティッシュより作りがしっかりしているガーゼてるてる坊主を、ご利益があると信じて誕生日のたびに作っている。
自分でも用意と手際がよくなったと思う。
頭が下にならないように吊るしてから、もう一度出来栄えを確認した。
なかなか可愛くできたと思う。
「翠雨の目は、もっと水色っぽいよね」
油性ペンの原色では表現できない不思議な色の瞳。
それ以外も、翠雨は不思議なところが多い男の子だ。
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