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「こ、告白かぁ……」
別に今の関係が不満なわけじゃない。
でも……例えば翠雨が話せるようになって、外にも出るようになったら。
みんなが翠雨のことを好きになるだろう。
それまでに自分の気持ちを伝えてなかったら、私はすごく後悔すると思う。
喜ばしい翠雨の変化を素直に喜べないかもしれない。
そんな自分は、私が嫌だ。
だからその前に好きって伝えないと。
でも……勇気を出すって難しい。
家族がそばにいるのを言い訳に、今までは告白できなかった。
晴れて二人だけのお出かけなら、勇気が出せる、はず。
たぶん。
「……好きだもん。もっと一緒にいたいよ」
もし、もしも翠雨も同じ気持ちだったら、年に一度と言わずもっとお出かけできるようになるかもしれないし。
ともかく、晴れてくれないと何も始まらない。
降水確率80%なんてお呼びじゃないんだ。
「その心意気、気に入ったぁ!」
「わあああ!?」
目の前のてるてる坊主から威勢のいい声が聞こえて、心臓が止まるかと思った。
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