【3】出会い

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 肩を貸してやったら気持ちが落ち着いたのか、月桂の頭が小さく縦に頷いた。 「母さんが……それを望んでいたんだ。緑の力を司る『四緑(シリョク)』の色命数士(しきめいすうし)として、大地を蘇らせる方法を探していたけど……この地は母さんの命まで吸い取ってしまった。見て、涛淳(タオチュン)さん」  月桂が俺から体を放して懐に手を入れた。  そこには淡緑色に光る一本の命数筆(めいすうふで)が握られていた。 「うお! それは『翠星(すいせい)』だな! よかった~筆が見つからなかったら、俺は一生店に戻れない所だったぜ」 「そ、そうなの。それは申し訳ない。これは母さんのお気に入りの『命数筆』だったんだ」 「そうかそうか。じゃ、返してくれ」 「あ、返すけどちょっと見て。この地の呪われた様を……」  俺は月桂から筆を取り上げようと思ったが、彼が色命数術(しきめいすうじゅつ)を使い出したので手を引っ込めた。月桂は着物の袖から一枚の短冊を取り出し、右手に持った筆に意識を集中させていた。  『翠星』がきらきらと輝きを増している。  月桂が体内にある生気を筆先に集めているからだ。
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