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「ねえ、僕もてるてる坊主を作ってみたい」
カイトが言った。
「いいね、作ってみよっか。
お母さんもてるてる坊主を作るの、久しぶりだな」
家に新しい白い布がなかったので、もうそろそろ捨てようと思っていた白い布巾を使って、てるてる坊主を作ることにした。
「雨が止んだら、カイトはやってみたいことはあるの?」
カイトに聞いてみる。
そして、私はどうなんだろう?
色々とやりたいことがある気もするし、もうこの生活にすっかり慣れてしまっていて、特にこれがしたいという希望はない気もする。
「僕ね、やってみたいというか、虹を見てみたい!」
そういえば、カイトがもっと小さかった頃、大きな虹が出てくる絵本を買ってやった。
カイトはあの絵本が大好きだった。
「お母さんは、虹を見たことあるの?」
「あるよ」
「綺麗だった?」
「もちろん、綺麗だった」
「いいな〜、僕も見てみたい」
雨が止んだら虹が出るなんて、当たり前だと思っていた。
今、この子は虹を見てみたいと、目を輝かせている。
私がもし今、虹を見たら、懐かしいと思うだろうけど、きっと感動はしない。
そんな気がする。
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