雨上がり

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「お父さんだ〜!」 カイトが歓喜の声を上げた。 そこに、アキトさんが立っていた。 アキトさんは国連の関連機関の職員だ。 仕事の内容は家族にも言えないらしく、何をしているのか私は知らない。 どこで働いているのかも知らない。 色んな外国のお土産を持って、半年ごとに一週間だけ自宅に帰ってくる。 たまにビデオ通話はするけれど、いつも変わり映えしない、どこも似たようなホテルの一室からだった。 今日、アキトさんが帰宅するなんて連絡はなかった。 日本にいたことも知らなかった。 「アキトさん、どうして…」 「車を用意してある、今すぐ行こう」 アキトさんが目をやった方を見ると、見たことのない車が停まっていた。 「え?あの車に乗るってこと? 待って、私、まだパジャマなんだけど」 「話は後で、急いでいるんだ、とにかく車に乗って欲しい」 アキトさんの口調は厳しくて、冷たくて、切羽詰まっていた。 何か、ただならぬことが起きているのは分かった。 だけど、何が起きている? 「カイト、お父さんが運転する車で、虹の端っこを探しに行こうか?」 アキトさんはそう言うと、カイトを抱きかかえて車に向かって歩き始めてしまった。 私も慌てて後を追う。 「虹の始まりが見れるの? 僕、すっごい楽しみ!」 久しぶりにお父さんに会えた上に、素敵な提案まで受けて、カイトは大はしゃぎだった。
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