てるてる坊主のゆきみちゃん

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  あした天気にしておくれー♪   いつかの夢の空のよに 晴れたら金の鈴あげよ♪」  みんなの視線が痛いわ。  だってアカペラだもん。だいふく君は大仏君になって悟ったように黙ってるし。  でも、頑張る。私最後まで歌い上げる。  「てるてるぼうず〜♪ てるぼうず♪   あした天気にしておくれー♪   それでも曇って泣いてたら そなたの首をチョンと切るぞ!?」 「な、なんですってー!!!!!」  そんな、首を……  私は心を込めて歌ったその自分の歌に、完全に打ちのめされました。 「私の勝ちでいいかしら。それとももう一曲いっとく?」  あめふらしちゃんが、フフンと笑っています。  か、完敗です。  どうしよ。どうしよ。どうしよ。 「うーーーーん、おい大仏、シンキングタイムよ」 「新しい情報が、いっぱい入ったわ。  8、あめふらしちゃん、ロックが好きなのね。良くロック会場に行くそうよ。  9、てるてる坊主の歌のラストはピーーーーーーー(自主規制)。ピーーー。ピーー。   ハァ、ハァ、えー、失礼しました。冷静になりましょう。  10、妖怪にもお話ができる。妖怪のお話も聞ける。  11、この雨はあめふらしちゃんのせいみたい。  12、晴れの妖怪日和坊ってのがいるらしい。そして私たちはその一派みたい」 「どう大仏、なにかアイデアはある」 「……」 「もう、頼りにならないんだから」 「あめふらしちゃん。呼ばれて遊びに来たって言ってた。誰に?」とだいふく君がポツリと言った。  ハッ、そうね。ひなちゃん? まさかね。  私は、そっと、ひなちゃんの願いの扉を開けてみた。そこには、確かにあめふらしちゃんと遊びたいという願いも入っていた。でも、それだけじゃなかった。みんなだ、クラスのみんな、先生、そしていろんな妖怪はもちろん、お話の中の登場人物まで、みんなみんなで遠足に行きたいって思いが詰まっていたの。 「ピッカリ〜ン! そうよ。みんなを呼んで集合させればいいんじゃないかしら」   私は元気を取り戻しました。 「あの〜、あめふらしさん。ひなちゃんは、あめふらしさんも含め、みーんなみんなと遠足に行きたいようですよ」 「そうよ、みんなで楽しみたいんですって」 「みんな、って他のみんなはどうしたんですか?」 「しらなーい」  どうしましょう。このまま、あめふらしちゃんだけだったら。 「あの、あめふらしちゃん。じゃあ、前夜祭をやってみんなを呼びませんか?」 「前夜祭?」 「そう、そう、いっぱい歌って、それでみんなに呼びかけて、大集合してもらいましょう」 「いいわ。そういうの大好き」  そういうと、あめふらしちゃんはどこかに走って行きました。  次に気がつくと、雲の上、雷神風神をバックに立っていました。  なんて、神々しいのでしょう。  そして、ドドドドーーーン♪ と雷がなって一瞬の静寂が訪れたと思ったら、あめふらしちゃんがやさしく歌い始めました、かと思うと今度は一陣の風が吹いて、超絶激しく曲に合わせて歌い始めたのです。  まじかー。かっこいいー。なんか私、泣けて来ました。
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