本編

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「さーはしくんっ」 午後7時。 残業の最中、机に忍ばせていた クッキーを口にしていたら、 後ろから同期の秋津昌美が近寄ってきた。 「何だよ、秋津。忙しいんだけど」 「冷たいな。手伝ってやろうか?」 「できる訳ないだろ、お前他部署だし」 隣の席の空き椅子を鳴らし、座った秋津は 俺の言葉を意に介すことなく 満面の笑みを浮かべ、こう言った。 「とりあえず終わったら、俺んちに来い。 わかったな」 「少なくとも、あと2時間はかかる」 「いいよいいよ、待ってるから」 ひらひら掌をかざし、立ち去って行く 秋津の背中を見送り、小さく息を吐いた。
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