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「お、お邪魔するぞ〜?体調だいじょぶか?」
ガチャリと目の前のドアを開け、ベッドのある方へと視線を移す。
「ゆ、結翔……?」
朝陽が、ベッドの上に横たわっている。
「これ、今日貰ったプリントな。明後日までだってよ。あと、櫻井先生が心配してたからな。」
朝陽をチラリと見たあと、向かいにある几帳面に整理された勉強机の上に、そのプリントを乱雑に置く。
じゃ、俺帰るから。と言い、何の感情もない顔で部屋から出ようと振り返る。
自分でも、表情筋が強ばっていくのを感じた。
「待ってよ、結翔。」
後方から、いつもの朝陽とはとても似つかないような弱々しい声が聞こえ、思わず立ち止まってしまう。
「……ごめん、俺馬鹿だから分かんねぇけど、知らない間に朝陽のこと傷つけてたんだよな。」
振り返らずにじっとドアを眺め、腰に両手を当てながら言う。
出来るだけ、不安を悟られないように。
「違う、違うんだよ結翔。謝りたいのは俺の方なんだよ。」
朝陽はそう言った瞬間、俺の制服を掴んだ。
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