52人が本棚に入れています
本棚に追加
「結翔、行かないで。」
俺の制服を右手で掴んだと思えば、体調不良とは思えないほどの力で引かれる。
「うおっ……朝陽?」
「ごめん、俺変なこと言ったよね。でも、俺ほんとだから……」
「ちょっと待て朝陽、俺怒ってねぇよ?だから落ち着けって。」
バツが悪そうに顔を逸らしながら言う朝陽。
「俺、好きだから。だから、嫉妬みたいな……ごめん、カッコ悪いよね。」
「は、はぁ……?いや、俺も好きだっての。」
「違うでしょ、結翔はそうは思ってない。」
ゆっくりと身体を起こし、俺の腕をがっしりと掴む。
その手はいつもより熱く、それほど身体がしんどいのか微かに震えていた。
「結翔は俺の事をただのクラスメイトとしか思ってない。」
”クラスメイト”、”クラスメイト”?
何が違うんだ、と思った。
事実だろ、同じクラスで、同じ部活だ。
「ほら、やっぱりそう思ってる。」
そのとき初めて、朝陽の腕が震えていた理由が分かった気がした。
「俺は違うよ、ただのクラスメイトじゃないよ。 」
最初のコメントを投稿しよう!