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「は?お前と俺がダブルス?」
らしくなく、真面目な顔で突拍子もないこと言うから流石に驚いた。
「いいじゃん、今日朝陽先輩居ないんだし。ね?俺とやりません?」
意地悪げに微笑を浮かべながら、俺に近付いてきて腕を組む。
そしてギュッと引き寄せられたかと思えば、佐和に捕らえられた右腕とは逆、左手に持っていたラケットをひったくられる。
「おい、何やってんだよ?それ使うから返してくんねぇかなぁ。」
「いやですよ、何言ってるんですか。先輩が俺とダブルスしてくれるまで返しません。」
そう言ってラケットを天に高く掲げながら、ふふんと得意げな表情でこちらを見つめる。
「ねぇ先輩、返して欲しい?」
力任せにラケットを奪い返そうと両腕を伸ばすが、自身よりも背の高い佐和には到底叶いそうにない。
負けじと背伸びをすれば、相手もそれに応じて背伸びをする。
「おい、本当に返せ。」
「無理です。本当に返して欲しかったら、奪ってみてくださいよ。」
「だから、それが無理だから言ってんだろ?」
「先輩チビですもんね、そりゃあ俺には届かないか。」
「あ?んだと佐和お前?」
「きゃー、先輩厳つくて怖ーい。」
「てめぇ、もっかい言ってみろ?」
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