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「なぁ、聞いてくれよミャーコ。」
部活から家に帰宅して速攻、リビングにいる猫のミャーコの元へ小走りで向かう。
「ミャーコ、俺部活で口説かれんだよ。しかも男の後輩な。」
そう言いながらミャーコの頭を撫でていると、キッチンから不服そうな母さんの声が聞こえた。
「ちょっと、ミャーコじゃないでしょう?」
「はぁ〜?コイツ、ミャーしか言えないからミャーコだよ。」
実は、ミャーコという名前は俺が勝手に呼んでいるだけ。
コイツの本当の名前はアメリカンショートヘアのアメだったりする。
名前だけは一丁前に可愛いくせに、よく遊びで俺の腕や手を噛んできたりでくそ生意気。
あーあ、コイツがもっと小さいときは可愛かったのになぁ。
そう思いながら、ミャーコのお腹をわしゃわしゃと撫でていると、母さんが再び口を開く。け
「あ、そうそう。」
「ん?今度は何?」
「これ、朝陽くんに届けてくれる?」
そう言って、ダイニングテーブルの上に置かれた紙袋を指差す。
何が入っているのか気になり、袋の中身を覗いてみる。
「ん、なんだこれ。みかん?」
「そうなのよ。母さんのお友達から貰ったんたまけどね、さすがに私たちだけだと食べきれないと思って。」
「へー、ほんじゃ、これを届ければいいんだね?」
ん……?
「ちょっと、母さん。これ誰に届けるんだって?」
「え?だから、朝陽くんのところにお願いねでて。」
「いや、朝陽?ムリムリ、死んでもムリだから。」
「ちょっと、そんなにケチなこと言わないでくれる?おつかいくらい頼まれてくれたって良いじゃない。」
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