53人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はこれほどまでに神という存在を心の底から憎んだことはあっただろうか。
こんなことになるのなら俺ではなく、BLゲーオタクの弟が転生すれば良かっただろうに。
どうか神様、どうか今からでも良いので、どうか妹と俺を入れ替えてはいただけませんでしょうか。
そんな願いも虚しく、俺はこのBLゲームの世界を謳歌する他ないようだった。
とりあえず、俺は散々前世で自身を苦しめたBLになる気はさらさらないので良いとする。
こんなBLアンチの俺がBLになるわけがないので、そこは安心できるだろう。
だとして、ああ……どうしよう……。
本当に、どうしよう。
ひとつのとある問題が、俺の頭を永遠と悩ませていたのだ。
「結翔!おはよ!!」
「……ああ、おはよう……日比」
そう。コイツ、日比 朝陽のことだ。
日比朝陽……俺のクラスメイトであり、友達であり……。
攻略対象キャラの一人である。
「……結翔、顔色悪くない?大丈夫?」
主人公・天江結翔のクラスメイトであり、所属している部活まで同じ。
俺よりも背が低く目はパッチリと大きい。
普通は受けキャラだと思うだろう?
それがなんと、朝陽はなんと攻めキャラらしい。
可愛い攻め?の需要がなんだとか低身長攻めは正義だとか、弟がとにかくうるさかった記憶がある。
……とりあえず、コイツが攻略キャラだというこの救いようのない事実に、俺の頭はバグりそうだったのだ。
もしかしたらコイツと俺が……もしあんなことにでもなったら……。
……ああ!もう辞めよう!
そうだ、俺は神に誓ったんだ。
絶対に、絶対に死んでもBLにだけはならないのだと!!
そうだった、俺は絶対にBLにならない!!
……だったらもう、良いよな。
そいうことならもうこれ以上複雑に考える必要はないな!
「いやいや、大丈夫だぞ?朝陽の気にしすぎじゃね?」
そうだ、しかも朝陽のことだぞ?
コイツが俺のことが好きなわけがないだろう。
だって、このご尊顔を持ち合わせているから女子には大人気だしな。
こんな女子に困らないような奴が、俺の事なんかを好きになるわけがない。
ただの友達だ、ただの友達!
何僕は馬鹿なことを考えていたんだろう……。
「……そう?なら、良いんだけどね……。」
最初のコメントを投稿しよう!