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俺の腕を掴み、グングンと元居た下駄箱の方へと引っ張られていく。
「ちょ、朝陽……!力強ぇっての、!」
「うるさい!自分の言いたいこともまともに言えない結翔が悪いんでしょ!!」
「おま、何言ってんだよ!」
こうして抵抗している間も、朝陽が俺の腕を握る力はだんだんと強くなっていく。
「朝陽、腕痛いから!」
「……。」
「うおわぁっ!?」
急に朝陽が立ち止まり、そのまま俺の腕を上の方へ引っ張りあげる。
朝陽と俺が互いに見合う姿勢になった途端に分かった。
「結翔。」
朝陽の顔は、怒っているのでもなく、顔をしかめているのでもなく……。
「あさひ……?」
ただ、悲しそうに眉を下げながら微笑んでいた。
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