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「ああ、くそ……ごめん結翔!俺今日予定あった!先帰る!!」
「はっ?え、ちょっと朝陽!」
先程までは俺の腕を掴んで離さなかった朝陽の手が、急にふっと離れた。
帰ると言い出した朝陽を止めようと試みてその腕を掴んでみるも、思ったより力のある朝陽にすぐに振りほどかれてしまう。
俺の手の平が空を切った感覚があった。
どれほどの長い間、俺は一人で立ち尽くしていただろうか。
動揺が収まり、冷静になったときには朝陽はそそくさと帰ってしまっていあ。
下駄箱に、ただ俺一人。
朝陽に掴まれていた俺の左腕が、ジンジンと痛みを発していた。
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