君は凛々しかったよ

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 「木村さん?」 「…は?は、い…木村ですけど」 「僕、中学の時、同じクラスだった中村です」 「あ〜中村くん。よくわかったね!あの、黄色い車、中村くんだったんだ!目立つ車だな〜っていつも思ってたの」 「え〜やっぱり目立ってたんだね」 僕は急いですぐそばにあった自販機でコーヒーのショート缶を買って手渡した。 「あっ、ありがとう。今、雷様が歌え踊れの宴会みたいだから、休憩なの。じきに止むと思うけど」 「暑いから大変でしょう。いつもここを通るたびに、ご苦労様って思ってたよ」 「あっ、そう。ありがとう。ちょっと恥ずかしいわ。でも私ずいぶん中学の時と印象が変わったでしょう」 「ん〜こういうガテン系になるとは思わなかったね」 木村さんは笑っていた。 ヘルメットを取って雨水を払う彼女は少し痩せたみたいだけど美人のままだった。 髪を一つに束ねて日焼けした顔は悲壮感などなく逞しかった。 ゲリラ雷雨がもう少し長くなってくれればいいのに…。 そう思ったら、15分ほどでその黒い雲が去って行った。 雨が上がり、あたりは工事の粉塵も洗い流してくれたのか綺麗な空気に包まれているようだった。
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