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あと一回。これ以上は受け付けないという雰囲気を、修也の声色から美沙代は感じ取った。
翌日、美沙代は光留にこの件を話した。
光留は美沙代より少し年下の、パート先の同僚だ。気さくでさっぱりした性格をしているが、他人想いなところもあり、相談しやすい相手だった。スピリチュアルが好きで、神社やお寺をはじめ色んなパワースポット巡りをするのが趣味らしい。
「ご主人にそんなこと言われたんですか⁉︎えぇ〜。美沙代さん頑張ってるのに…」
光留は話を聞きながら眉を寄せた。
「うん…なんか私、独りよがりだったのかなって思っちゃった」
「独りよがりだなんて!え、でもじゃあ、あと一回のチャンスに賭けるっていうことですか?」
「そういうことになるね」
「う〜ん…」
光留は少し考えこんでから、閃いたように言った。
「それなら美沙代さん。オススメのスポットがあるんですけど」
「え?」
「子宝に恵まれるっていう、パワースポットですよ!」
「あぁ〜…」
美沙代は困った顔をした。巷で有名な神社などは、すでにお参りをしていたのだ。
「水天宮とかは行ったんだけど」
「ちーがーいーまーす!神社とは違った、ちょっと別格のパワースポットなんです」
「えっ…そんなのあるの?」
「ここからちょっと遠いですけど…そこに訪れた方はもれなく子宝を授かるって噂ですよ。ダメ元で行ってみたらどうですか」
「うーん…」
「やれるだけのことやらないと、後悔残りますよ?」
「まぁ、それは確かに…」
「場所送りますね!」
「う、うん。ありがとう」
「あ、でもこのパワースポット」
光留はニヤリと怪しい笑みを浮かべながら言った。
「ちょーっと、刺激が強いみたいですよ。ショック受けないでくださいね」
「え?なにそれ。こわいんですけど」
「あとは行ってのお楽しみです!」
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