愛の子

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そういうわけで、美沙代はこの銅像の前に立っているのだ。 けれども美沙代は疑問だった。 この銅像のどこが、そんなに刺激的なのだろう。 着物姿の女性はただただ美しく、優しい母性を備え、愛おしそうに子を見下ろしている。まるで和装版、聖母マリアのような姿だ。 寝ている子の表情も穏やかで、幸せそうだ。 「うう〜ん…謎だ」 とりあえず触っておくか。 美沙代は銅像の目の前まで進み、その女性の肩にそっと触れてみた。 目を瞑って、子宝に恵まれますように、と祈りを捧げてみる。岩肌に当たる波の音、鳥のさえずり、心地よく降り注ぐ日の光が、美沙代を包んでいる。なんだか心がポカポカと温まってくる気分がした。 そういえばこの銅像、思ったより硬くないな…むしろやわらかいような。本当に女性が布をまとっているような…? 美沙代は疑問に感じて、目を開けた。 すると、どういうことだろう。 女性が微笑みながら、美沙代と目を合わせている。色を持った、生きているとしか思えない、生身の女性だった。
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