返事

3/7
前へ
/225ページ
次へ
「……違った?」 「あ、いや……その、ごめん」 「……いや、なんで謝んの?」  すると、僕の謝罪に呆れたように微笑み尋ねる音咲(おとさき)くん。……えっと、ひょっとしてバレてた? でも、決して覗いてたわけではな―― 「……別に、見えてたとかじゃないよ。ただ、場所的にもタイミング的にも、聞こえててもおかしくないかなって。いつも由良(ゆら)中庭(ここ)に来る方向から考えても、たぶんあの辺を通ってるんだろうとは思ってたし」 「……な、なるほど」  すると、僕の心中を察したようにそう告げてくれる音咲くん。……そっか、良かった……いや、良かったっていうのもおかしいか。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加