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ふと、立ち止まり声を洩らす。そんな僕の視線の先には――
「……音咲、くん……?」
そう、ポツリと呟く。そんな僕の視界には、一軒の家の前に佇む音咲くん。きっと、応対を待っているのだろう。
暫し、壁の裏に身を潜め見つめる僕。……いや、何をしてんるだろうと自分でも思うけども……それでも、どうしてか、ここで目を離しちゃいけない気がして――
その後も、誰一人として姿を見せることはなく家の前を立ち去る音咲くん。悲愁の漂うその姿に、僕の胸にも悲しみが込み上げる。それでも……今、声を掛けるべきでないことは流石に分かる。なので、今日のところは僕も――
「…………へっ?」
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