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寂しい微笑
「ごめんね、音咲くん。こんな時間に、わざわざ来てもらって」
「……まあ、別にいいけど……でも、いったいなんの用?」
翌日、放課後にて。
そう、怪訝そうに尋ねる美少年。今、僕らがいるのは四階隅の教室――現在はもう使用されていない、半ば物置きと化している空き教室で。
ところで、放課後とは言ったものの――外は、もうすっかり茜色に染まっていて。つまりは、とうに授業が終わった後、わざわざ時間を空けて来ていただいたわけで。もちろん、申し訳ないとは思ったけど……だけど、万が一にも他の人の耳に入っちゃいけないから。と言うのも――
「……うん、どうしても聞きたいなと思って。きっと誰にも言えず独りで抱えている、君の苦痛について」
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